VIXEN ポルタ経緯台で自動導入(その1)

VIXEN ポルタ経緯台は写真で見るより実物は非常にしっかりしていてかなり頑丈です。更に上下、水平フリーストップ式でかつそのまま微動もできて操作性は抜群です。このような経緯台は今までに有りそうで無かったと記憶しています。
惜しむらくはこれに直接モーターを取り付けられないことです。もしモーターが取り付けられれば同社のスカイセンサー2000で簡単に自動導入ができるのですが、スカイセンサー2000PC自体が単体販売終了となっているようなのでわざわざモーター取り付け構造を設けなかったのか、あるいは後発のスカイポッドと競合する恐れがあるので敢えて設けなかったのか、などと余計なこと考えてしまいます。

いずれにしてもモーターさえ取り付けられればこれを使って自動導入ができます。
心配なのはポルタの微動軸が少々重いことです。これはギヤーで減速してトルクを稼げば何とかなるとの考えで製作しました。

モーターの取り付け
前述の通りポルタにはモーターを直接取り付けられそうなところがありません。幸いL型アームもアリミゾ台座も付属のレンチで取り外せますので写真のように3mm厚アルミ板を挟んでモータを取り付けるようにしました。
水平軸側のアルミ板は長方形のアルミ板の片側を半円形に加工しています。また垂直軸側のアリミゾ台座は鏡筒が水平方向及び天頂方向に向いたときモーター及びギヤーがアームと干渉しないようにモーターが真上にある時鏡筒が45度傾くように取り付けています。

モーターはこちらで使ったものをそのまま使っています。

ギヤーの選択
ギヤー選択の主なポイントは物理的取り付け位置、すなわちモーター軸とウォーム軸の距離、及び減速比の二つです。モーターとウォームホイル軸までのトータル減速比は導入速度に直接影響しますのでこのあたりを勘案して選択します。結局ギヤーは小原歯車工業のDS0.8-56(モジュール0.8歯数56)とDS0.8-20(モジュール0.8歯数20)を選択しモーター減速比2.8:1を得てトータル減速比2.8X120=336(ポルタのウォームホイルは120歯)となっています。写真では中間にギヤーが入っていますがこれは減速比には関係なく単にモーター軸とウォーム軸の距離を埋めて動力を伝達するためのもので、モーター軸がもう少しウォーム軸に近づけばこのギヤーは必要無かったのですが物理的にこれ以上不可能でした。
ギヤーは一見して強度に不安がありそうですが材質はジュラコンという材質で最近のOA機器でよく使われていて軽くて対摩擦性に優れています。何よりも価格が数百円と安いのが魅力です。

ギヤーの購入先は日産商会というところで秋葉原の近くにありますが常に在庫しているわけではなく電話またはWEBで取り寄せ注文ということになります。注文後数日で入庫の連絡があり私は直接とりに行きましたが遠方の方は宅配が可能かどうか問い合わせて見るのも手かと思います。他に秋葉原の千石電商のロボットパーツのコーナーに真鍮ギヤー各種があります。

全体像はこんな感じですが実際は小型ノートパソコンとモータードライバーが三脚開き止めのアクセサリートレイに乗せてあります。

実際の使用では心配していた駆動トルクですがモーター減速比が2.8:1なので問題なく駆動しています。但し、もっと重い鏡筒を載せるとバランスの関係で微動ユニットに負担がかかりウオーム軸が固くなります。直接ウオーム軸を指でつまんで回せる程度でないとモーター駆動は難しいと思います。

トータル減速比が336:1なので水平軸(方位軸)が最大360度回るのにUSB2.0を使用してV2.2現在のソフトでは実測3分半ほどかかりましたので約410倍速ということになります。360度回ることはめったにないので平均180度としても2分弱で導入完了します。

実際の導入方法は先のこれを見ていただくこととして、使用感を記しておきます。
50倍程度の倍率であれば殆んどの天体を視野のどこかに自動導入できます。自動導入した後の微調整もギヤーと反対側の手動ノブを直接廻すこともできるし、そのままフリーストップを利用して見たい方向に鏡筒を自由に振ることもクランプをさわらないでできることが何より快適です。但し鏡筒の水平バランスは勿論ですがフリクションの調整は少し固めにしておくことです。

その2につづく

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