簡易ステッピングモーター

自作のページで紹介している「ポータブル簡易自動架台」のモーターコントローラー電子回路について問い合わせが時々あります。その内容のほとんどは電子回路が苦手なので原理がよく分からない、あるいは電子回路の作成に自身がないというものです。そこで電子回路を使わないで小学校の時に習った電気の実験程度の知識でできる1RPM簡易ステッピングモーターをご紹介します。(ここで紹介することは簡易赤道儀架台の自動化を前提に補足するものですのでこちらの方もあわせてお読みください))

正確に1分間に1回転するステッピングモーターといえば時計の秒針が思い浮かびますが、簡易赤道儀といえどもこれではトルク不足で駆動できません。時計の正確さを保ったまま(注)別のモーターで駆動する、というか間欠的に10秒ごとに60度だけ回転し60秒で360度回るモーターを考えることにします。原理はまったく違いますがステッピングモーターの動きと同じです。
下の図でその仕組みを説明します。

Aは時計ユニット(パネル時計などに使われているクオーツ時計ユニット)の秒針軸に付けた60度ごと(10秒間隔)に凸部の付いた円盤です。Bはモーターの出力軸に付けた同じく60度ごとに凹部のある円盤です。Mはギヤーを内臓もしくは何らかの手段で減速してあるモーター(およそ20〜2RPM)とします。
図の状態ではマイクロスイッチSWA、SWBとも現在OFFでモーターは回転していません。時計が進んでA盤が回ると凸部がSWAをONにします。するとモーターが回転してSWBをONにします。SWAはすぐにOFFになりますがSWBがモーターへの通電を保持しています。A盤の次の凸部がくる前にB盤の次の凹部がくるとモーターは停止します。その後はこれを繰り返しながらモーターは正確に(注)1分間1回転することになります。
実際はこのように動作するようモータースピードと凸部(SWBがONするまでの時間)、凹部(モーターが完全に停止できる時間)の形状を与える必要があります。またSWAは軽く動作することが必要で極力A盤に負担をかけないことが大切です。(自作ページの作例でわざわざフォトカプラを使ったのはそのためです)
このあたりはA盤の直径をなるべく小さなものにするとか,軽いスイッチを工夫するとかでなんとかなると思います。

凸凹部の数を増やすとか数の比率を変えるとかでさまざまな回転数(およそ1/4RPM〜4RPM位)に対応できるはずです。(凸:凹=1:1なら1RPM)
さらにこの場合のモーター出力を10対1に減速すると歯数144のウォームホイールをもつ赤道儀を駆動することができます。
自作や市販の赤道儀をこれで自動化したらいかがでしょうか?


(注)時計が正確だとして、この例でいうと10秒あたりの誤差は最小0以上、最大10秒未満です。0にするのは無理にしてもうまく作れば2秒程度の誤差にできますが、誤差は蓄積されないので1分でも1時間でも24時間でも誤差は2秒です。 たとえ誤差10秒でも50mm以下のレンズをガイドするのに十分な精度です。
また間欠間隔(ステッピング)を短くするほど精度は向上し、1秒ごとに回るようにすると300〜400mmのレンズをガイドできる精度になります。ただしメカ的に1秒ごとを検出するのは難しく時計ユニットの電子回路から直接電気的に取り出すしかないようです。


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