光害カットフィルターの分光実験

手持ちの光害カットフィルターの特性を調べてみました。対象は下写真左からIDASのLPS-P1(31.7)、ケンコーHF(58)、ミザールμ(52)、ケンコーR64(58)の4枚です。

実験方法
下の図のように黒紙にあけたスリットと双眼鏡のプリズムの45度の頂点を使ってデジカメ(QV-3500SX)で撮影しました。スリットの入射光は直接の太陽光ではなく青空です。本当の分光撮影は一定の光源とかプリズムの角度とかもっとまじめにするのでしょうが素人の実験としてお許し下さい。

フィルターはカメラレンズの直前に手持ちで撮影し、カメラはノーマル(赤外カットフィルター付き)で4倍デジタルズーム併用で12倍ズームです。
とりあえず撮影した画像です。

LPS-P1は4箇所でスペクトルの不透過部分があり見事に選択波長域を持っていることが分かります。HFフィルターとμフィルターはカットしている波長域は似ているのですが傾向は少し違うようです。HFフィルターは橙から黄色をブロックしているのに対してμフィルターは黄色から緑をブロックしています。いい加減な方法で撮影したのですが面白いことにバックの色合いは天体写真を撮ったときもこの傾向にあります。
気になるのは656nm(Hα)の透過率ですがデジカメ本体が赤外カットしているためはっきりは分かりません。撮影条件(露出、フォーカス)も必ずしも一致していないため濃度の比較はできません。単なる分光特性の参考です。下段はフィルターの2枚重ねですがそれぞれの特性を引き継いでいるようです。
過去の銀塩写真の経験からμ+HFはバックが黒く赤が強調されますがM42などでは赤い星雲が写るだけで周りの柔らかい感じが出ないため面白くありません。赤いだけの散光星雲には良いかもしれません。

上の結果をまとめたものが下の図です。見やすくするためバックの濃度をなるべくそろえ横方向に2倍引き伸ばしています。波長のラインはIDASホームページのLPS-P1の分光チャートから推測で割振ったものです。

本来の目的は光害地で赤い散光星雲を写すのにどんなフィルターを使えばコントラストが上がるか調べるためでしたが、透過率が今回だけではまだ明確でありません。次回に追試を行いたいと思います。

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