DCモーターとベルトを使った赤緯モータードライブ
10年ほど前にビクセンSP赤道儀用に製作した赤緯モータードライブを紹介します。 いまさらという感もあるのですが、DCモーターとベルトドライブもまだまだ使えるという ということを紹介したいと思います。 赤緯モータードライブは赤経と違って等速である必要はありません。(したがって高価な ステッピングモーターと複雑な駆動回路がいらない)その代わり順、逆方向の応答性は赤経 よりもむしろ要求されます。 モーターは精密カメラシャッターのメーカーであるコパルのType909を使用しています。 このモーターは900:1のギヤーヘッドが付いており24V駆動で9RPMというものです。 このモーターをいかにSP赤道儀に取り付けるか、また赤緯微動ウヲーム スクリュー軸にどのように伝えるかが問題でしたが写真のように職場の廃材を使用した ピッチベルトとプーリーを使用しています。
ベルトというと伸び縮みするものと思われ がちですがゴムの中に布繊維が入っていて伸び縮みは全くありません。通常平ギヤー を介して駆動するのが常ですがベルトドライブの良さはこの部分のバックラッシュが 全く発生しません。プーリーは直径約33mmと16mmのものを使っています。 DCモーターですから電圧さえかければモーターは回転します。このモーターは定格 24Vですが1.5Vでも回転します。当然電圧が高いほうが高速回転しトルクも強く なります。電圧設定は実際赤道儀に取り付けてコントロールしやすい速さになるよう 設定しました。結果、低速側3Vで約4倍速相当、高速側12Vで約32倍速相当です。
モーターコントロール回路はいたって簡単です。
スイッチ1(SW1)、スイッチ2(SW2)は順、逆反転用、スイッチ3(SW3)は高速、低速 切り替え用です。SW1,SW2は2回路2接点の押しボタンスイッチで回路図の点線で記してい るものどうしが連動します。SW1またはSW2を押すと順または逆方向に回転します。 当然両方一度に押してもモーター、回路とも壊れることはありません。 最初は赤枠の部分は左のように抵抗1本で済ませていたのですが、低速のトルクがどうして も足りず鏡筒のバランスによっては駆動が不安定になることがありました。そこでこの回路 を追加し自動的に駆動力の不足に対処するようにしています。簡単な回路ですが劇的な効果 がありいたって安定な回転を得ることができます。 この回路を赤経モーターコントローラーMD−6の中に無理やり詰め込んで2軸コントロー ラーとして使用しています。モーターへの配線は赤経モーターへのDINケーブルの中に同梱 し赤経モーターハウジングを経由して赤緯DCモーターに接続しています。
アイピースの視野の中を「ツー」とタイムラグを感じることなく動く様子は小気味良い ものです。 現在ではGP赤道儀に取り付けてCCDオートガイドをするためにSW1、SW2は半導体スイッチ に置き換えていますが(右回路図)外部コントロールが必要なければわざわざトランジスタを 使う必要はありません。 ノータッチの写真撮影をするのでなければ赤経駆動にも使用できると思います。オートガイド をするのであればステッピングモーターでさえも必要ないと思っています。 このドライブは電動フォーカスや最近はやりのドブソニアンの追尾に使うと最適だと思うので すが・・・