フリップミラーの製作

ビクセンフリップミラーは望遠鏡観望でなにかと重宝する便利アイテムですが望遠鏡への取り付けは2インチスリーブなので他のTマウントネジ(通称42T=42mmピッチ0.75)望遠鏡に付けられません。
望遠鏡メーカーの接眼部リング類のネジは各社独自の規格となっていてバラバラですが、唯一共通なのがTマウントです。昔は36.4mmピッチ1mmという共通の規格がありましたが最近はあまり使われていないようです。

そこでTネジ接続のフリップミラーを自作することにしました。
2mm厚アクリル板を使用しています。Tマウントはペンタックスのスクリューマウントである通称Pマウントのカメラアダプタを使用しています。Tマウントアダプターは別にPマウントでなくても良いですがEOSマウントなどではマウント径が大きく全体を小さく作る(=光路長が短い)ことに限界が生じます。


Tマウントの細長いツマミでフリップミラーを簡易回転できます。アイピース差込スリーブは塩ビパイプにスリ割りを入れて熱湯に漬けて31.7mmスリーブに合うように型取りして作りました。

ミラーの入手が問題ですが天頂ミラーを流用するか改造するのが手っ取り早いです。但しフリップ機構を設けるとどうしてもミラーの可動空間が必要なためミラーボックスは天頂ミラーより大きくなってしまいます。

ビクセン純正フリップミラーとの比較です。
上:ビクセンフリップミラー、下:自作フリップミラー

自作品はビクセンフリップミラーより一回り大きく写っていますが光路長は自作品の方が短いです。
上段の望遠鏡は過去に製作したフリップミラー付きガイド鏡で今回のものより二回り小さいです。小型化のため90度側は顕微鏡用アイピース(スリーブ径30mm)を使っています。直視方向はアメリカンサイズです。

ミラーさえ入手できればアクリル板や塩ビ板で簡単に製作できます。フリップミラーは惑星を撮影するときにToUcamの小さなCCDチップに対象を導入するのにとても重宝しています。90度方向のアイピースで対象を確認しミラーをフリップすると直視方向のCCDに簡単に導入できます。その他、アイピース倍率の変更も簡単で観望や撮影に欠かせません。

BORG65に取り付けた様子です。ビクセン純正フリップミラーでは光路長が長く焦点が合わなかったのですがこちらは合焦します。ミラーボックスはもう少し小さくできる余裕があるのでせっかく作るならぎりぎりまで小さく作れば良かったかなと反省しています。但し31.7mmアイピースを使う場合計算上45mm角以下にするのは難しいです。


2013/7記

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