超広角アイピースの製作
最近、ナグラーだのパンオプティックだのと超広角アイピースの話題をよく耳にし
ます。しかし、いくら最高の見え味でもいかんせん超高価で手がだせません。そこで
せめて超広角の世界だけでも体験してみようと、リンクの木村
裕之さんのページに100円ショップのレンズを使った超広角アイピースの記事があ
ることを思い出し、広角アイピース関連の記事を何度も読み返しました。
光学知識の全く無い私なのですが、ま、なんとかなるだろうと自作を決意したのでし
た。(殆どものまねです)
とりあえず、ガラクタ箱から適当なレンズを探しました。某ガラク
タ市でこういうこともあろうかと購入しておいたKenko 0.7倍コンバージョンレンズ
(100円)2個を分解して取り出した直径33mmの両凸レンズを眼レンズとして使
用することにしました。このレンズは両凸ですがそれぞれの面の曲率は異なるもので
す。視野レンズはホームセンターで購入した直径46mm f≒100mm(280円)を使
用することにしました。
2枚のレンズの組み合わせは4通りあり、また間隔はどうするかと試行錯誤の結果
、凸の強い方同士を密着させると一番見かけ視界が広く周辺像の流れ(?収差)も少
いことが判明しました。
ボーグ65の接眼部をはずし左手に280円の虫眼鏡、右手に2枚あわせの眼レンズ
を持って昼間の景色を覗いてみると結構クリヤーに見えるではないですか。気を良く
していろいろとためしていると、どうもあまり広視野になりませんアイポイントが長
すぎるのです。(25mmくらいかな?)
この時のレンズ構成 焦点距離46mm視野60度
眼レンズと目の間隔を狭めるほど視野が大きくなりますが、ブラッ
クアウトが発生します。ブラックアウトが発生しないぎりぎりのところで見かけ視野
60度くらいでしょうか、せっかくですからもう少し広視野が欲しいところです。で
もこの構成だとどうしてもこれ以上広角にできそうもなくアイポイントをもう少し短
くする必要がありそうです。
そこで眼レンズにもう一枚(ジャンクのスキャナーから取り出したレンズφ18.5mm、
f=33mm)を加えて3枚構成にしてみました。眼レンズだけで覗いて見ると80度オ
ーバーはいけそうです、でもアイポイントはさすがに短く8mm程度でしょうか、眼鏡
をかけたままだとちょっとつらいのですが我慢することにします。眼レンズと視野レ
ンズの間隔は狭いほど倍率が高くなりますが適当に決めました。構成が決まったとこ
ろでこの眼レンズと視野レンズを鏡胴に組み込むことにします。
鏡胴は40の塩ビパイプと40のジョイントを使って2インチスリーブとしまし
た。40の塩ビパイプの外径は48.8mmなので息子から無利やりとりあげた下敷きと0.2
mm厚のスチール板を巻きつけて外径を50.8mmに調整し2インチスリーブとしています。
一応仮組した状態でボーグ65に付けて覗くと視野80度オーバーの 視野がそこにありました。初めての体験に感動しながらよく観察すると視野中心部は 思ったよりクリヤーですがVixen PL26mmと比べるとややあまいといった感じですが、 ただ同然のレンズとしては上出来です。 周辺部ではさすがに像が流れ倍率の色収差も気になります。デフォーカスすれば少し は改善されますがまだ不満が残ります。なんといっても視野環がないのでなんとなく すっきりとしません。周辺像もいまいちだし視野環で周辺を切り捨てることとし、眼 レンズの焦点位置に33mm径の視野環を入れると約70度の視野となりました。
最終構成です
結果、焦点距離25mm、アイレリーフ8mm、視野70度の超広
角アイピースが完成しました。
ボーグ65に付けて冬の星野を覗いてみると、超広角の世界にまず心が奪われます、
中心像はいわゆるヌケがよくコントラストもまあまあです、さすがに70度の周辺近
くではまだ色々な収差がありますが、中心から70%の範囲では満足できるものです。
20cmシュミカセに無理やり取り付けて覗くとその迫力に圧倒されそうです。それほ
ど倍率が高くないので大きな欠点が目立たないのだと思います。