CASIO QV-8000SX 直焦点化への改

改造の動機
このQV-8000SXでのデジカメによる天体撮影は東名高速まじかの市街地という場所でも想像以上の成果をあげてくれました。 しかし周辺部星像の劣化やケラレといったコリメート撮影の限界を感じるようになりました。 赤外カットフィルターも外してしまっていることだし、いっそのこと天体写真専用に直焦点化しよう、 そうすれば周辺部のケラレも非点収差?も無いもう少しましな写真が撮れるのではないかという安易な考えからでした。しかし、これには大きな落とし穴があるのでした。

直焦点化への道

このデジカメはレンズ後部のカバーは比較的簡単に外せるのでCCDを外部に引き出してデジカメ内臓のレンズではなく直接望遠鏡の焦点位置に置けば間単に直焦点化となるわけです。(と、思ったけど・・・)
問題は望遠鏡との接続方法ですが、回転レンズ機構の関係から大きなマウントは付けられずCマウントにすることにしました。CCDのフィルム状ケーブルは約1Cmと短いのでマウント取り付け場所の自由度はあまりありません。
カメラの自重をマウント取り付け部で支えるためアルミ板で補強しています。マウント(♀)はジャンクの監視CCDTVカメラを分解して流用しています。ノイズリダクション時のシャッター閉用に電動シャッター(これも監視CCDTVカメラから)を組み込んであります。
中心にCCDが見えますが当然赤外カットフィルターは外してあります。CCDの周りはシャッターで通常は開いている状態です。
 





右の写真はCCD引き出し裏面の様子です。レンズカバー後頭部とアルミ補強板に穴を開けそこからフィルムケーブルを引き出しています。 このくらい大きな穴を開けないとフィルムケーブルをコネクターに接続する作業が大変です。 またCCD基盤の部品面およびCCDの足には結露などによる弊害を防止するためバスコーク(風呂スキマ充填材)で密封しています。

はじめは夏場のためにCCD基盤の後ろに小型のヒートシンクを貼り付けてエアーブローなどの代替フロン(缶を逆さまにしてスプレーすると気化熱で軽く-20℃位まで冷却できる)で冷却しようと考えたのですが、 実験ではうまくいかず今はそのまま放置しています。(代替フロンを液体のまま少量づつ吹きかけるのが難しい)

上の丸いものは電動シャッターの電磁コイルです。このシャッターはノイズリダクション時に本体の制御によって自動的にコントロールされると便利なのですが、本体側の回路が不明なので対処できていません。(どなたか知っている方がいらしたら是非教えて下さい)
従って手動にしろ電動にしろ何らかの方法でコントロールしなければならないということです。手動で筒先開閉をする気になればこのシャッターは不要です。

と、いうことでこのQVが持ち合わせているインターバル撮影とうい便利な機能が使えなくなることになりました。これは後で汎用インターバルタイマーを製作することにします。


望遠鏡への取り付け

はじめはケンコウから販売されているCマウントアダプターで接続するつもりだったのですが、現物を見ないで注文購入したため、いざ接続しようとしたらCマウントアダプターの直径が予想以上に大きすぎてアルミ補強板に当たって取り付けられませんでした。なんの設計もしないで思いつきでするとこういうことがよくあります。

仕方ないのでこれも自作することにしました。

使用したものはペンタックスSマウントのTリングです。ちょうどCマウント♂(これも監視CCDTVカメラのレンズから)がぴったり入りましたので3ヶ所でネジ止めしています。
内部には31.7mmアイピースのフィルターネジも組み込んでフィルターがつけられるようになっています。Tリングは二重構造になっており内部のリング(42mmP0.75)を望遠鏡側に付けておきカメラにこのアダプターを付けておけば、スポッとはめて2ヶ所のつまみネジを締めれば簡単に脱着することができます。

撮影編

望遠鏡に取り付けた様子です。
ぶら下がっているといった感じですね。

実際に天体撮影する前に昼間の景色を撮影してみることにしました。赤外カットフィルターを外しているので液晶ファインダーには赤みが強くでます が、これはホワイトバランスを蛍光灯にすることで自然な感じになります。 しかし、撮影画像はなんと真っ白で何も写っていません。モニターにはちゃんと映っているのにどういうことでしょう
シャター速度はオートに設定しているので適正露出はカメラがしてくれるはずなのですが・・・・
明るすぎるようなので口径を絞ってどうにか画像らしき物は写りましたが、うすい青みがかった感じで写っています。 このQV8000はメカシャッターと電子シャッター併用なのですがノイズリダクション時以外は電子シャッターと思い込んで いたのが間違いでした。確かにどんな時でもメカシャッターは動作するようです。どうも画像を書き込むときには シャッターが閉じていなければならないようです。しかし、数秒程度のシャッター速度なら手動でコントロールできますが高速シャッターにはとても同期がとれません。まっ、どうせ昼間は撮らないからいいかと無理やり納得しています。幸いなことに夜間室内で撮影すると一応まともに写りました。でもコントラストがオリジナルレンズの時と多少異なるようです。この時のシャッター 速度は1/4秒程度で、このあたりのシャッター速度は惑星の撮影に使う速度ですが手動でシャッターとの同期をとるにはまだ速すぎます。とりあえずこのままシャッターを閉じなくても惑星ならなんとか撮れそうです。

実際に望遠鏡に付けて星空を撮影してみました、48秒をセットしてテスト撮影です。このカメラはシャッターを押してから一秒ごとに緑のLEDが光るのでこれを目視カウントしてノイズリダクションのタイミングを計ります。当然ノイズリダクション時は手動(電動?)で電磁シャッターを閉じています。と、まあ作業する仕事は増えましたがケラレもなく隅々まで星像は点像で、一応初期の目的は果たせたようです。

しかし・・・
直焦点であるために今までコリメートで撮影してきた対象は大きすぎて画面からはみ出してしまいます。何とかして主望遠鏡の焦点距離を縮めなくてはなりません。
手っ取り早いのは一眼レフカメラのレンズですが、EDでもアスフェリカルでもない通常のレンズはとても満足できる星像ではありませんでした。その後CCDTV用レンズなど手持ちの使えそうなレンズを色々試してみましたが、どれも満足行くものはありませんでした。逆に考えると天体望遠鏡やデジカメレンズの解像力はすばらしものだと実感しました。CCD素子が小さい分それだけシビヤーな解像度が必要だということですね、僅か5mm角の画像を15インチとか17インチのモニターで拡大して見るのですから・・・

望遠鏡にレデューサを付けても極端に短焦点化(実焦点距離100mm位にしたい)することはできませんので今後の課題となりました。当面は比較的小さな星雲/星団などを対象に撮影していきたい思います。直焦点画像はこちらから。
結論として労力の割には直焦点化するメリットは少なくデメリットの方が多いと感じています。(以下)

直焦点化のメリット/デメリット    ケラレが無い、周辺像の劣化がない/短焦点化に苦労する、インターバルタイマーが使えない、改造の手間、コリメートのように合成Fを明るくできない ・・・


終わり

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